闇を潜り、元の場所に戻ってきた。
まだ誰も居ないか。
他の4人はまだ帰って来てなかった。
死んでないよな?
ちゃんと帰って来るよな?
そんなことを思いながら待っていた。
しばらくすると、闇が2つ浮かび上がってきた。
「薫!」
「あっ!薫…♪」
ボロボロの優と玲央奈が戻ってきた。
玲央奈は俺に抱きついてくる。
体が…冷たい…。
すると俺と玲央奈が闇に包まれた。
「ふぅ。死ぬかと思った!」
俺の傷も元に戻り、玲央奈の傷も体温も普通に戻った。
相変わらず…化物みたいだ。
玲央奈は優の方を向き、同じように優の傷も全て治した。
「ありがとう!薫…大丈夫だった?」
優が俺の方に来る。
「余裕だった。お前の相手は…かなり強かったみたいだな。」
さっきの状態を見てそう感じていた。
「俺の相手…辰馬さんの体使ってた奴だった…。殺されそうになった時…本物の辰馬さんに助けられて何とか勝てたけど…。」
辰馬の体が…?!
デスアビス…とことん嫌な部分を突いてくるな。
「僕の相手は薫の知り合いだったよ。沙織さんって人。」
玲央奈が言う。
沙織まで…。
「薫に伝えてって言われた。桜を救いだして…幸せに暮らしてねって。」
沙織…。
俺が殺したようなものなのに…。
「伝えてくれてありがとな。」
俺は玲央奈の頭を撫でた。
更に闇が2つ浮かび上がり、その中から涼風と楓が出てきた。
涼風は服も体もボロボロの状態で、楓も斬り傷が目に入る。
「皆…。よかった…。無事で…。」
涼風は俺達を見て涙を流し始めた。
「ハハッ…!さすがや。やっぱり全員生きて帰って来とるわ…。」
楓も笑いながら言う。
玲央奈はすぐに2人の手当てをし始めた。