死神の黒柩を氷らせた?!
これも…この氷だらけの世界だからできることなの?
辺りを見回してそう思った。
ドカァッ!!
フィズが柩を蹴って開け、笑って僕を見た。
『そろそろ…体が厳しいんじゃないの?』
確かに…。
元の世界は春…。
この世界は完全に真冬くらいの温度…。
体が上手く動いてないし、寒さで集中できてないのもある。
でも…弱音吐いてる場合じゃない…。
ここで勝たないと薫が困る。
それに皆きっと勝ってるのに、僕が負けてちゃここに来た意味がない…。
『この世界は壊せない。氷を溶かしてもまた新しい氷が張る。人間に勝ち目はないわ。せめて季節が冬だったら…貴方も厚着してたんだろうけどね?』
フィズが腕を広げると、氷が集まっていく。
『氷殺鉈…邊罹亜屡(べりある)。』
氷が冷気を纏った白い鉈を作り出し、フィズはそれを握った。
「ふぅ~…。首切り紅堕羅…欲殺。」
大きく息を吐き、欲殺を出した。
「ゲームしない?」
笑ってフィズに言った。
『何のゲームかしら。』
フィズは余裕の笑みを浮かべる。
「僕の体の状態から考えると…まともに戦えるのはあと5分くらいかな。その5分以内に君を倒せたら僕の勝ち。倒せなかったら君の勝ち。どう?シンプルなゲームでしょ?」
欲殺を手で回しながら言った。
『確かにシンプルね♪でも…今の貴方に私が倒せるかしら?』
フィズは鉈を僕に向ける。
「倒せなかったら…結局そこまでの男だったってことだよ。」
僕は笑って言った。
