―次の日―



ん…うん……。



目を覚ますと、アジトの俺の部屋の天井が目の前に広がっていた。



―『やっと起きたか。俺は『イスーラ』だ。よろしくな小僧。』―


イスーラ…。


昨日の炎の悪魔か…。



「何で俺…アジトに戻ってきてんの?」



―『大変だったのよ?力の暴走で意識が無くなって、薫が何とか止めて、ここまで運んだのよ。』―



薫が…。


また迷惑かけちゃった。



起き上がって下に降りると、薫はソファーに座ってテレビを見た。



「薫…昨日はごめん…。」


俺がそう言うと、立ち上がってきて、俺を睨みつけた。


そして、薫の拳が俺の顔面に当たる。



「強くなりたいのは構わない。お前がそれで凹もうが努力しようが何の文句も言わねぇよ。ただな…無茶だけは止めろ。天使と悪魔の二重契約なんざ、しくじったら死ぬとこだったんだぞ?」



「ごめんなさい。」


薫はタバコに火をつけて、吸い始めた。


「お前は俺の見えない部分を見る目になるんだろ?死なれたら困るんだよ。わかったら掃除と洗濯と飯!早くしろよ。」



そう言って、またソファーに座ってテレビを見始めた。



やっぱり薫は優しい人間だ。


周りの人にもそうすればいいのに。



俺はそう思いながら、ご飯を作り始めた。