俺は倒れてしまう。
辰馬…さん…。
シエルに手を伸ばす。
辰馬さん…。
まだ諦めちゃいけない…よね…?
俺が知ってる辰馬さんはこんな所で…絶対諦めないよね…?
薫だって…絶対諦めない…!
俺が…ここで…諦められ…
グサッ…!
「ぐぅっ~…!」
もう少しで届くと思っていた時に、メイズの槍が手の甲に刺さった。
『おら。頑張れ頑張れ~。剣までもうちょっとだぞ?』
メイズは笑って槍を更に深く刺す。
『跳ね火玉ぁ!』
さっきの炎の玉が浮かび上がり、俺の背中に当たる。
「ぐぁぁぁぁっ~…!!」
俺の背中で飛び跳ねる炎の玉のせいで、背中に感覚がなくなるほど跳ね続ける。
何で…上手くいかないんだろ…?
こいつは許せないのに…。
辰馬さんを侮辱してる奴なのに…!
勝たなきゃいけないのに…!!
あと少しなのに…!!
シエルを見ながらそう思っていた。
『そろそろ死んでもら…!』
メイズが攻撃を止め、シエルを見る。
シエルは解放状態になった時のように目が浮かび上がり、鈍く輝きを放つ。
な…何…?
輝きを放ったまま宙に浮かび上がり、浮かび上がった目が見開く。
すると、周囲に闇が広がる。
『なっ…!?』
視界を何かが通り、メイズは吹き飛んだ。
何が…起こってるの…?
闇が晴れ、目をこらしてその何かを見てみた。
「おい。三下風情が俺の息子を随分と可愛いがってくれたな?」
タバコの煙を吹かす。
大きな背中、背中まである長い髪、タバコ、あの口調、あの声…!!
「辰馬…さん?辰馬さん!!」
「バカ野郎!親父って呼べよ。」
辰馬さんが振り返って笑って言った。
