―優―


闇の中に入り、たどり着いた先は、辰馬さんの溜まり場の屋上だった。



「こんな所に…何が潜んでるんだろ?」


俺は辺りを見回した。


これが…デスアビスの能力か。


屋上から景色を眺めた。







『お前が俺の相手か。』


声が聞こえて後ろを振り返った。



「た…辰馬…さん…?」


そこには死んだはずの辰馬さんが立っていた。



『さぁ!戦おうか!!』


辰馬さんは俺に向かって殴りかかってくる。


「えっ?!ちょっと…!」


俺は状況が飲めないまま拳を避けていく。


『動きが悪いな!お前…ザコか!』


足下を蹴られて転かされ、辰馬さんは殴りかかる。


俺は拳を両手で掴み、辰馬さんの腹を蹴って距離を離した。



「待ってって!辰馬さん…だよね?」


立ち上がって辰馬さんに聞いた。


『あぁ?確かにこの体はお前が言う辰馬って奴の体だが?』


体は…??


まさか…!


『今は…この俺、炎の悪魔『メイズ』様が使わせてもらってるよ!』


腕に炎を纏って言った。



辰馬さんの体を…悪魔に乗っ取らせたのか…!!



「……………。」


俺は無言のままメイズに殴りかかる。


メイズは拳を避け、炎の拳で殴りかかってきた。



炎の拳を掴み、顔面を蹴り飛ばした。


右手の皮が剥け、痛みや熱さが走る。


だが気にせずに倒れているメイズに殴りかかった。


メイズは転がって避け、後ろから俺に蹴りかかる。



足を掴み、顔面を殴り飛ばした。



『はっ!さっきとは動きが別人だな?』


メイズは起き上がり、笑いながら言った。


俺はメイズに手をかざし、炎の槍を浮かべた。



「返せよ…その体。お前みたいなカスが…使っていい体じゃないんだよ!!」


炎の槍をメイズに向かって投げた。


メイズは炎の槍を避け、笑い始めた。



『そんなに体を返してほしけりゃ…勝って奪えよ!』


舌を出し、中指を立てて言った。