―薫達―
俺達は史朗達と落ち合い、電車に乗った後に山道を登り、彩華村に向かっていた。
「2回目やけど…この山道…きっついわ~…。」
楓が息を整えながら言う。
「もう少しだ…。頑張れ…。」
俺も息を整えながら言った。
しばらくすると、彩華村が見えてきた。
「着いたぞ…。」
俺は足を止めて言った。
「あれ?でも普通だね。襲撃された痕もないよ!」
優が俺の隣に来て、村を見ながら言った。
確かに。
村は何も変わらず、のどかな雰囲気だった。
村は直接攻撃してないのか??
「…違うよ。あれは幻だ。僕には見える。あの村の入り口に何か結界のような物が張ってある。」
玲央奈が村を見て言った。
まさか…。
俺達は村に向かって走り、中に入った。
すると、眼前に映るのは先程とは全く違う村の景色だった。
のどかな雰囲気は消え、火が家から家に燃え移り、辺りは一面火の海になっていた。
地面には死体が転がり、血が流れていた。
子供は死んでいる親にすがりつき涙を流し、かろうじて生きている人々はただ呆然と歩いていた。
「これは…ひどいわ…。」
涼風が村の現状を見て呟く。
「こんなの…許せないよ…。」
優は拳を強く握りしめて言った。
「あれは何ですかね?」
史朗が指差した先には大きな門があった。
―『…冥界の門…。天使協会の人間が悪魔の扉を魔具にして封印した物だ。あのカス女…魔具屋から奪ったな。』―
アビルが言った。
あれが…村を襲ったのか…。
「か…薫…?」
生き残った村人が俺の方にゆっくり歩いてきた。