―扇杜内の某ホテル―
「ただいま~!」
玲央奈がホテルのドアを開けて言った。
俺は玲央奈が買った服や日常品を持たされ、フラフラと部屋に入って荷物をソファーの上に置いた。
「お前と扇杜来たら金が飛んでまうわ!服何着買ってんねん!」
ソファーに腰を下ろし、玲央奈を見て言った。
「いいじゃん!前回の仕事3000万ももらえたんだし!」
玲央奈はそう言ってベッドに寝転んだ。
「あと2日か~…。」
天井を見上げ、どこか心配そうに玲央奈が言った。
「心配か?薫はんのことが。」
俺は玲央奈の横に座って問いかけた。
「………薫…死なないよね?あんなに強いし…。」
玲央奈が俺に聞く。
何やかんや言うて心配なんやな。
俺は玲央奈の頭を撫でてあげた。
「絶対死なへんよ。薫はんにはまだ生きてやらないけんことがたくさんあるやろ。
好きな人を取り戻したらデートもせないけんやろうし…この戦いが終わったら俺達とも決着つけてもらわな困るし…優とも決着つけないかんやろうし……薫はんは人気者やからな。
ここで死ぬような男なら…俺は協力したりせぇへんわ。」
俺は笑って言ってあげた。
安心するかと思ったが玲央奈の顔は曇ったままだった。
「…ならいいんだけど…。何か嫌な予感するんだよね…。薫が死んじゃうような気がして…。」
「一緒に戦う俺達が心配してどないすんねん!信じるしかないやろ。薫はんのこと。結局俺達にできるのはそれしかないんやから。」
そう言うと玲央奈は微笑みを浮かべた。
「そうだよね。今から心配してもしょうがないし…僕達は全力で戦うことしかできないもんね。」
玲央奈は天井に手をかざす。
「大丈夫。何とかなるよね。」
自分にそう言い聞かせるように玲央奈が言った。
