―薫―
事務所のドアをノックして中に入った。
うわ…。
中にはソファーに座る史朗と二朗、その後ろに立っている由莉恵と晴、それと依頼をしに来たであろうヤクザの組長がソファーに座り、組員達その後ろに立っていた。
「何やガキ。」
組員の1人が俺に言った。
「…依頼しに来たんだよ。」
俺は史朗を見て言った。
史朗は俺を見て微笑む。
「見てわからんか?うちの組長が依頼しに来てんだ。ガキは出て行け!」
そう言って俺を突き飛ばした。
ダンッ…!
銃弾が組員の耳をかすり、血が流れた。
「私達の大切な依頼人です。無礼なことはしないように。すみませんが…この話はまた後日と言うことでよろしいですか?
二朗…送ってさしあげなさい。御無礼な部下をお持ちの組長さんを。」
史朗がそう言うと、二朗は組長を立たせ、連れて行く。
「まっ…!待て…!私は悪くない…!」
聞く耳を持たず、二朗は俺の横を通り過ぎ、事務所から出て行った。
それを見た組員達もゾロゾロと出て行った。
「依頼…でしたよね?どうぞこちらに。由莉恵…お客様にお茶を出しなさい。」
史朗は由莉恵を見て言った。
「へっ…?はっ…はい…!史朗様。」
由莉恵はお茶の用意をし始めた。
「いいのか?さっきの依頼人だったんだろ?」
俺はソファーに座って言った。
「いいですよ。こちらの掲示額を払えないと言っていたので…そろそろ話を終わらせようと思っていました。そこに貴方が現れたんでよかったです。」
だから微笑んだのか…。
相変わらず食えない奴だ。
由莉恵が俺と史朗にお茶を出し、さっきの位置に戻った。
「では…依頼のお話を聞きましょうか。」
史朗は扇子を広げて言った。
