―北海道―
「う~ん…!はぁ…。こうなれば…とことん迷惑かけて死ぬか…。」
俺は空港から出てそう呟き、足を進めた。
待ってろよ…桜…。
全部終わらせてやるから…。
俺は首にかかっているネックレスに触れてそう思った。
バスに乗り、そこからしばらく歩き、雪像始末の時に来た旅館に足を運んだ。
玄関には掃き掃除をしている麗羅が目についた。
「一泊だけど…いいか?」
俺は掃除をしている麗羅に近付いて言った。
「一泊です…ね…。…薫さん!どうしたんですか?!」
麗羅は俺を見て驚いて言った。
「ちょっとこっちに用事があってな。旅館て言ったらここしか知らねぇから来たんだ。」
俺はタバコをくわえて火をつけた。
「そうなんですか!すぐにお部屋に案内します!どうぞ!」
ブーツを脱いで旅館の中に入り、部屋まで案内してもらった。
「すぐにコーヒーお持ちしますね!」
そう言って麗羅は頭を下げて部屋から出て行った。
「ふぅ~…。」
灰を灰皿に落とし、窓から景色を眺める。
何も変わってない。
静かに時が流れている。
気分を落ち着けるにはちょうどいい…。
コンコンッ…
ノックの音が鳴り、鳴海が中に入ってきた。
「久しぶりです。薫さん。」
「久しぶりだな。仕事は上手くいってんのか?」
煙を吐いて言った。
「はい。でも…雪の女神が無くなった影響で離れていく人達も居ましたが何とか大丈夫です!いつか薫さん達に作品を見せる為に頑張ってます!」
鳴海は笑って言った。
仕事は順調そうだ。
「ならよかった。楽しみにしてるよ。」
俺は笑って言った。