「…愛ちゃんは…何も悪くないよ…。悪いのは…人の弱い心に漬け込んだ悪魔だ…。愛ちゃんのせいなんかじゃない…。何も護れなかった俺にも責任はある…。」
俺は愛ちゃんを抱きしめて言った。
「そんなことないよ…」
「いや…俺はダメダメだよ…。人に迷惑かけないと生きていけないし、薫みたいに強くもなれない。この先も…俺はずっと誰かに護られて…同じようなことで怒られるんだと思う。気付けば…皆強くなって俺を引き離していってた。
でも…愛ちゃんが居たから…俺は少しでも強くなれた気がするんだ。いつもやられたらすぐに諦めそうになるし…誰かが助けてくれるって正直思ってた。でもね…今回だけは…無茶しちゃったけど最後まで諦めずに向かっていけた。
だから初めて薫の気持ちが理解できたんだ…。あんなに辛い場所で…ずっと薫は戦い続けてたんだって…。」
俺は薫が戦っている時を思い出していた。
「薫はスゴいんだよ?どんなにその人が強くたって…どんなに自分が追い込まれたって…薫は大切な人の為なら諦めずにずっと戦い続けてる…。辰馬さんと戦った時も…薫は俺や理恵ちゃんの為に…あんなにボロボロになっても戦い続けてくれた…。
ぶっきらぼうで…人使い荒いし…自分勝手だけど…俺は薫以上に強い人は見たことない。
でも…俺は薫にはなれない。誰かが側で支えてくれないと…多分俺は生きていけないんだ…。
だから…その……愛ちゃんのこと全部支えるから!俺のこと……支えてくれない…かな…?そうすれば…俺は強くなれるから…。」