―優―
「愛ちゃん?どこに連れて行くの??」
愛ちゃんが俺の手を引いてどこかに連れて行こうとする。
玲央奈君に目を治してもらったけど、安静にする必要があると言われ、目に包帯を巻いていた。
「優が連れて行ってくれた場所。何か行きたくなって…。」
悲しそうに愛ちゃんが言った。
そっか…。
お父さんは襲撃されたし…お兄さんは今回の事件で……。
「着いた!座ろ!」
愛ちゃんは俺を座らせた。
しばらく何も喋らずに、俺達は静寂に包まれていた。
すると、しばらくして愛ちゃんが口を開いた。
「私ね…お兄様にいつも迷惑ばかりかけてた。お兄様は長男だし、立派な跡継ぎになる為に小さな頃から勉強ばかりさせられてた。でも、お兄様はそれが家族の為になるって言って遊びたいのも我慢してずっと勉強してたの。
……私は…ワガママばかり言ってきた。家の中にずっと居るのも嫌だったし…パーティーにも出席したくなかったし…お見合いもしたくなかった。家族の為なんて全然考えたこともなかった…。お金持ちの家になんて生まれなければよかったって…窓の外で遊んでいる子供達を見ながらいつも思ってた。
でもお兄様はそんな私にも優しかった。好きなように生きていけばいいって言ってくれた。初めて優と会った時も…お兄様が外に出してくれた…。たまには外に出すのもいいんじゃないかってお父様やお母様に言ってくれたのも…お兄様だった…!」
愛ちゃんの声が涙声に変わっていく。
「私が…お兄様を苦しめてた…!だから…お兄様は…菅原さんの言う通りに…私を殺そうと…!私が…!全部…私が悪いの…!
私がもっと…!お兄様のことを…考えてあげてたら…!私が…ちゃんとおとなしくしてれば…何も…!何も起こらなかった…!」
愛ちゃん……。
俺は手探りで愛ちゃんの手を探して握り、愛ちゃんを抱き寄せた。
