―その頃の優―



役立たず…か…。


確かにこの仕事……薫に頼りっきりだった。


涼風さんとの戦いの後…すぐに俺の助けにまで入って……。



「何やってんだろ…俺…。」


その場に座り込んだ。


―『優…凹んだって始まらないわ!特訓あるのみよ!』―


ガーディアンが俺に言う。


「そんなのわかってる…。俺は弱い…だから努力するしかないんだ…。でも…」



―『でも限界だってあるよなぁ?小僧。』―


ガーディアンとは違う声が聞こえ、辺りを見回した。



―『こっちだよ!こっち!』―



声がする方を見ると、斎藤 慶太の死体の上に炎を纏った男が座っていた。


「悪魔か…。」



―『こっちの方がわかりやすいか?』―


炎が巻き上がると、さっきとは違う完全な悪魔がそこに居た。



―『契約主を探している。力が欲しいだろ小僧?』―



悪魔は俺に近付いてきた。


力が…欲しい…。



―『ダメよ優!私が居るでしょ?!それに…天使と悪魔の二重契約なんてあなたの精神が保てないわ!』―



そうだ。


俺にはガーディアンが居る。



―『そんなの甘ちゃんだからだろ?ある程度特別な人間ならそんなことにはならん。やってみろよ小僧。力を欲するというのはそういうことだ。努力もなしに強くなろうなど只の人間…そう‥このバカくらいだよ。』―


悪魔はそう言って死体を蹴った。


―『お前の考える努力とは一体何だ。只その天使と一緒に居て戦うことか?それじゃあ、あの男は超えられんよ。お前に足りないのは踏み込む力だ。あの男はこちらに踏み込んだんだ。お前もそうしろよ。』―



俺は………。


悪魔の方に手を伸ばした。


―『優!!』―


「ごめん…ガーディアン…。足手まといは…もうごめんなんだ…。」


―『………私は知らないから!勝手にしなさい!』―



俺は悪魔に触れた。


―『さて…契約の儀だ。』―


悪魔がそう言うと、俺の頭の中に映像が流れ込んできた。