「首切り紅堕羅…"欲殺(よくさつ)"。」


玲央奈は闇の中に手を入れ、真っ赤な刃が上下に付き、真ん中に持ち手がある剣を出した。



剣を回して俺に向けた。



「これを敵に出すのは初めてだよ。」



玲央奈は斬りかかってくる。


俺は断罪で受け止めた。


下に付いている刃で断罪を真上に飛ばし、上に付いた刃で俺の体を斬る。


「ちっ…!」


断罪をキャッチして、後ろに下がった。


「無駄だよ!!」


玲央奈が剣を振ると、俺の体が斬れた。


「なっ…?!」



「欲殺は空間を越えて相手を斬ることができる。薫に逃げ場は無いよ?」



恐ろしい剣だな…。


あの剣に間合いなんか関係ねぇ…。



だったら…逃げても意味ないな…。


俺は玲央奈に斬りかかった。


玲央奈は飛んで避け、空中で俺に斬りかかる。


俺はしゃがんで剣を避け、着地した玲央奈に斬りかかる。


玲央奈は上に付いた刃で断罪を受け止め、持ち手を割って俺の体を斬った。



「グハッ…!」


なるほど…。


繋がった剣なのか…。


持ち手を合わせれば一本の剣。


持ち手を割れば双剣になる。



「僕は薫に負けない。薫を殺すのは僕だよ!!」



玲央奈が剣を振りかぶって俺に斬りかかる。



鞘で剣を払い、玲央奈の体を斬った。



「なっ…!?」


玲央奈は後ろに下がる。


「俺は…まだ死ねねぇ…。こんな俺の助けを待ってる女が居る。そいつを…桜を助けるまでは…どんな奴にもこの命は渡せない。

勝ち負けなんてどうだっていいんだよ。生きてさえいればな。だが…俺の命を狙ってる奴に…俺は負けられない。例えお前が今まで負けたことがない天才だとしても…俺はお前を踏み越えなきゃいけねぇんだ。

一番大切な笑顔や優しさを…取り戻す為にな。」



俺は立ち上がって構えた。