力が…入らない…。
でも…負けたくない…。
ここで負けたら…薫に負担がかかる…。
俺は力を込めて立ち上がった。
負けたくない…。
楓に向かって構えた。
「優。もう止めとけ…。目線が俺に定まってないで。」
楓は刀をしまって言った。
「負けられ…ないんだ…!」
俺は楓に殴りかかる。
楓は拳を掴んで俺を押した。
すると簡単に俺は倒れてしまった。
「もう終いや…。俺も大技使いすぎて…バテバテなんよ…。」
楓も俺の隣に座った。
「引き分けにしようや…。また戦おう。その時に決着つけような。」
楓は笑って言った。
「…俺……楓に負けた…!悔しい…!大切な物も…自分で護れなかった…!」
悔しさが涙に変わって目から零れ落ちた。
俺は…弱いままだ…。
何一つ変わってない…!
「お前が俺に負けたと思うなら…その悔しさをバネに成長せぇ。それが人間が一番成長できる方法や。俺もまた戦った時にまたお前に勝てるように努力するわ。
それがお前の成長に繋がるなら何度だって勝ったる。お前が俺に勝てる日を…俺は楽しみにしてるから。
お前ならきっとすぐに俺を追い越すよ。優は強いからな。心配せんで大丈夫や。もっと自分に自信持て。」
そう言って楓は俺の頭を撫でた。
楓は大きな人だな…。
俺はいつか勝てるだろうか…。
この楓と言う大きな壁を越えられるのかな…。
自分に自信を持つ…か…。
「それに…俺が勝ったとしても…まだ薫はんが居る。薫はんが負けたら…始末屋の負けや。」
楓は薫と玲央奈君が戦っている方を見て言った。
「……薫は勝つよ。絶対勝てる。俺はそう信じてるから。」
俺は楓を見て言った。
薫…。
頑張って。
