グサッ…!
俺の腹を何かが突き刺した。
なっ…!
玲央奈君は腕に生やした黒い鎌で俺の腹を刺していた。
「強くないと奪われちゃうんだよ?だから優は僕達に奪われる…愛する者をね。」
俺を突き飛ばして、立ち上がった。
「まだ…!まだだ…!!」
立ち上がろうと力を込める。
「へぇ~…。まだ立てるんだ。」
玲央奈君は笑って、俺に手をかざす。
「じゃあ…本当に殺しちゃうよ?♪」
玲央奈君の手が闇に包まれる。
まだ…!
終われない…!!
「玲央奈…もうえぇ。」
楓が玲央奈君の腕を掴んだ。
「炎の壁が解けとる。さっさと運んで終わらそうや。優…ごめんな?これも仕事やねん…。」
嘘…。
ファイアウォールが解けた…?
俺の力が限界を過ぎたから…?
嫌だ…!
動け!!動け体!!!
大切な物を失いたくないんだろ?!!
動け…!!動け!!!
力を入れるが、立ち上がれない。
「嫌…!優…!優…!!」
愛ちゃんが楓に連れられながら俺に手を差し伸べる。
愛ちゃん…!!
「体動けよ!!!」
俺は叫んで力を込める。
「翼をもがれた天使は…地に堕ちるが運命。もう無理だよ。」
玲央奈君が俺に言った。
こんなの…嫌だよ…!!
決めたんだ…!
愛ちゃんを護るって……。
動いてよ…。
俺の体…。
「さいなら…優…。」
楓の声が聞こえた。
嫌だよ…!!
「嫌だ!!!」
「ブラックスライサー。」
黒い斬撃が飛んできて、楓と玲央奈君が愛ちゃんを離して避けた。
