―優―
俺は玲央奈君に斬りかかった。
玲央奈君は避けて俺の腹を蹴り飛ばした。
「さて…そろそろいくよ?」
俺に向かって手をかざした。
何か来る…?
「紅蓮の笑い猫(ぐれんのわらいねこ)…。」
『ニャァ~…!』
真後ろから何かに抱きつかれた。
それは大きな口元を糸で塞がれ、紅い大きな目をし、毛が赤と黒の猫だった。
離そうとするが、ガッシリと掴まれていた。
「笑え…笑い猫。」
玲央奈君が指を鳴らすと、猫の口を塞いでいた糸が音を立てて切れ、ニヤリと笑った。
その瞬間体が炎に包まれた。
「ぐぁぁあっ…!!」
炎が止み、猫は消えた。
何だ…今の技…。
「まだまだ♪♪時計ウサギ!」
玲央奈君が指を鳴らすと、マンガから出てきたようなスーツを着た小さなウサギが、その体に似合わない大きな時計を抱えてこっちに走ってきた。
『忙しい忙しい!遅刻しちゃうよ~!』
何これ…?
これも技なの…?
こんなのすぐ避けれるし…。
『あぁっ…!』
ウサギが転けて、時計が俺の方に転がって来た。
文字盤を見ると、骸骨が舌を出していた。
「えっ…?」
ドガーンッ!!
時計が爆発した。
「グッ…!」
何とか無事だけど…一向に玲央奈君の方に行けない…。
全く隙が無い…。
しかも本当にあの場所から動いてないし…。
「狂うた帽子屋(くるうたぼうしや)。」
玲央奈君がまた指を鳴らすと、タキシードを着ていて、長い帽子を被り、ステッキを持った背の高い男が現れた。
今度は…仕掛けられる前に仕掛けてやる…!!
