しかし…タバコ吸えないのはしんどいな…。


俺は壁にもたれかかり、シャンパンを飲みながらそう思っていた。



「おかわり下さい!」


優がウェイターに話しかけ、オレンジジュースをもらっていた。



静かにしろって言ったのによ…。



「失礼。あなたはどの部署の方ですか?」


若い男が俺に話しかけた。


情報収集か。


三浦財閥のトップの記念パーティーなのにご苦労なこった。



そんなことを思っていると優が帰ってきた。


「誰??この人。」


俺は優を蹴った。


「部下が失礼しました。私…本社の原料調達部の荒川と申します。」


俺は偽の名刺を男に渡した。


「君も名刺を渡しなさい。」


優を睨んで言った。


「あっと~…同じく…原?料しらた…!」


優が喋り終わる前に頭を殴った。


「すいませ~ん!彼少し緊張してまして!彼は私の部下の城原(しろはら)と言います。よろしくお願いいたします。」


優の頭を掴んで下げさせた。


「原料調達部…。そんな部署ありましたっけ?僕も本社勤務ですが聞いたことありません。」


怪しい目で俺達を見た。


「秘密なんですが…新設される部署なんです。我々は裏で活動してまして、この度成績が認められ…来年から正式に部署設立となるんです。誰にも言っちゃいけませんよ?英樹様もその時に発表したいから誰にも言うなと我々も言われてますから。」


俺は笑顔で言った。


「そうなんですか~!いや~おめでとうございます!僕はこういう者です。機会があればまたお会いしましょう。」


男はそう言って名刺を渡して去っていった。


「よく平気でそんな嘘つけるね~。」


俺は優の頭を殴った。


「お前…あれほど練習したよな?何だよ原料しらたつって。それと、俺が知らない誰かと話してる時は敬語を使えって言ったよな?ヘマすればここから追い出されるんだぞ?次失敗したら殺す。」


手の骨を鳴らしながら言った。


「ごめんなさい~!」


頭を抑えて優が涙目で言った。