―薫―
玲央奈の買い物に付き合わされ、もう日が暮れて夜になっていた。
結局自分じゃ持てなくなり、玲央奈は俺にまで荷物を持たせる。
「さっすが扇杜!可愛い服いっぱいあったな~!!」
両手いっぱいに持ってある袋を振り回しながら玲央奈が言った。
「そんな量の服いつ着るんだ?」
俺は首の骨を鳴らしながら言った。
「戦ってたらしょっちゅうボロボロになるからね~!買いだめ作戦だよ!」
笑顔でピースして言う。
お前がボロボロになるのかよ…。
アビルに比べたら大分セコい能力持ってるくせに。
―『俺が不満ならいつでも離れるぞ?お前の魂を頂いてな。』―
はいはい。
すいませんでした。
「あれぇ~??楓電話に出ない。おかしいなぁ~。」
携帯を耳に当てたまま玲央奈が言った。
「誰かに襲われた……ってのはないか。優も居るしな。」
「それはないよ。楓が戦ってたら気配でわかる。僕の使い魔が反応するからね。」
玲央奈は携帯をいじって俺に言った。
「使い魔?」
「薫ならわかるよ。そこら中に居るでしょ?」
気配を探ってみた。
な…何だよこれ…。
気配の先を見てみると、ニヤリと笑う小さな悪魔がそこら中に身を隠していた。
「あれは僕が創った能力『検索悪魔君(けんさくあくまくん)』。強い契約者にしか見えないようにできてるの。これで半径3㎞圏内の契約者や僕が探したい奴の居所がわかるようになってる。」
玲央奈は平然と言って、また電話し始めた。
これだけの量の使い魔を出しっぱなしにできるのか…?
「う~…。出ない。とりあえず戻ってみようか!」
玲央奈は笑顔で言って歩き始めた。
こいつ底無しだな…。