―薫―
「まぁ、話長くなっちゃったけどそういう流れで楓と組んでるよ!」
玲央奈は俺に笑って言った。
2人の過去を聞くのは初めてだったけど、こいつ…よく笑ってられるな。
「本当に刺青入れたのか?」
俺はタバコを足で消しながら言った。
「うん!見てみる?あんまり人に見せたことないけど…薫ならいいよ。」
そう言って玲央奈は服を脱ぎ始めた。
すると、公園に居るホームレスや男が玲央奈を見始める。
こいつ…羞恥心はないのか…?
腰まである長い髪を前に持っていき、俺に背中を見せた。
玲央奈の背中には、木に綺麗な紅色の紅葉の葉が生い茂り、その葉が舞い落ちる様子を描いた刺青が彫ってあった。
ん?
腰の左の方に何か書いてある。
美しき紅色の葉は
季節を越え
心の中に舞い続ける
行書体でそう刻まれていた。
「これがお前の覚悟か。綺麗な覚悟だな。」
俺がそう言うと、玲央奈はまた服を着た。
「何かこれくらいしか思い付かなかったから。形に残る物が無いと…いつか忘れちゃいそうで怖いんだ。」
遠くを見て玲央奈が言った。
「いいじゃねぇか。俺はそんな覚悟も背負えない勇気の無い男なんだから。」
すると玲央奈は俺の後ろを見た。
「…後ろの綺麗な女の人はそれでも嬉しいみたいだよ?ずっと自分のことを思って頑張ってる薫のことが大好きみたい!でも無理はしてほしくないって!薫のペースで薫らしく生きてほしいんだって!」
俺はすぐに後ろを振り返った。
だが当然のごとくそこには何も居ない。
「お前…何見たんだ…?まさか…」
「内緒だよ!」
玲央奈はそう言って舌を出して、歩き始めた。
