―楓―
「玲央奈はスゴい奴やってその時からずっと思ってた。何やらしてもできる奴やったわ~。今も玲央奈は契約者としても天才やし、仕事でも経理やら依頼料の相談やら相手を追い詰めるプランやら全部考えとる。
やから少し玲央奈は心配やし…今の玲央奈はまだまだ弱い。」
俺が言うと、優はわからない顔をした。
「天才なのに弱いの?だってあのひねくれた薫も実力を認めてたくらいだよ?」
優の言葉に思わず笑ってしまった。
ひねくれたって!
「確かに薫はんは玲央奈の実力は認めたやろうな!けど…薫はんは玲央奈を『強い奴』って言うてたか?」
俺は優に聞いてみた。
「そういえば…言ってなかった…。」
やっぱりな。
さすが薫はんや。
「玲央奈の弱さは完璧やからや。欠点がある奴ほど努力する。その努力に応じて結果がついてくる。
やけど玲央奈は違う。完璧になったとあいつは思うてるはずや。契約者として実力を上げ…今の俺も玲央奈には勝ちきらん。だからこそ玲央奈は自分の力に驕ってるんや。もう誰にも負けないと思うてるよ。
だから玲央奈が薫はんに出会えてよかったと思うてる。薫はんなら玲央奈を変えることができるかもしれん。
ちょっと前の薫はんなら無理やったかもしれへんけど…今の薫はんなら絶対できる。
俺はそう信じてる。」
俺は優に笑って言った。
「玲央奈君のこと本当に心配なんだね!」
「当たり前や!俺の大切な家族やし…相棒やしな。それに…俺も自分が完璧やと思ってて大切な物を全部奪われた。
妹を失い…孤児院の皆も…全部失った。
あの日のことは…きっと玲央奈も忘れてない。あの忌まわしい事件のことはな…。」
