始末屋



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雨が降っているのに、僕は傘もささずに走り続けた。



まだ追ってきてる…!


嫌だ…もう帰りたくない…!


息を切らし、全力で走っていく。


すると裏路地に入れる場所があり、そこに入り、ゴミ箱の中に身を隠した。



「どこ行きやがった!探せ!!」


スーツを着た3人の男は目の前を通りすぎていく。



もう無理だ…。


また捕まっちゃう…。


ふと視線を落とすとガラスの破片があった。


僕はそれを力強く握りしめる。


すると指や手のひらが切れて血が滴り落ち、微かな痛みが走った。


手首を切ったら…死ねるんだよね…?


握りしめたガラスの破片を見つめてそう思っていた。


あいつらが来る前に僕が死んでれば…僕は楽になれる。


もう苦しまないで済む…!


手首にガラスの破片を当てた。



これで…僕は…。


「お前死ぬんか?こんな汚い所で。」


声が聞こえ、その方向を見た。


すると金に近い茶髪で背の高い男の人が居た。


「もったいないのぉ。お前は未来を投げ捨てて死ぬんか?何があったか何も知らんけど、自分の人生に失望するのは早すぎるんちゃうか?」


男の人は僕に近付いて手を握った。


「触るな…!僕は…何もない…!家族も…頼れる人も…誰も居ない…!僕は1人だ…。死ぬのも僕の自由だ!」


僕は手を振りほどき、男の人にガラスの破片を突き付けて言った。


「1人やない。お前の目の前に俺が居るやないか。お嬢ちゃん…人生なんて何があるか分からんのや。まだまだ未来はある。この先もずっと今と同じなんて絶対にない!

お前は1人やない。何なら俺がお前の家族になったるわ。どや?俺はお前の味方になったる。1人にもさせへん。なるべく楽しませるように頑張ってやるから

俺についてこんか?」



男の人は僕に手を差し伸べた。


無理矢理握る訳でもなく、ただ僕を見つめて手を差し伸べていた。