始末屋



―玲央奈―


「家族を殺し…頼る人も居なかった僕は町の中を当てもなくさ迷ってた。誰かが声をかける訳でもなく…何日も飲まず食わずの生活なんて当たり前だった。何より僕はまだ幼かったからお金の価値もよく分かってなかったし…文字も平仮名しか書けなかったしで…野垂れ死ぬしか道はなかった。

そんな時に僕は怪しいオジサンに拾われた。
生活は一変した。豪華なご飯は毎日出るし…欲しいオモチャもいくらでも手に入った。でもその代償に…僕はオジサンにキスされたりとか…オジサンの着せ替え人形みたいにされたりとか…色々散々だったよ。」


今でも思い出すだけで鳥肌が立つ。



「すごい人生歩んでんだな。俺なんてまだまだ普通だったって実感するよ。」


薫はコンビニの灰皿にタバコを入れた。


「苦労なんてしない方がいいよ。普通が一番だよ!」


僕は笑って言った。


「まぁ結局そんな生活も嫌になって僕は何回も逃げ出そうとした。でもその度に捕まっちゃって、鞭でぶたれたり…何日もご飯食べさせてもらえなかったりされてさ…僕は段々そうまでして生きていたくないって思うようになった。

家族を理不尽に殺し…自分だけがのうのうと生きていることに疑問を持ち始めた。
でも死ぬ為の道具もない。舌を噛み切る勇気もなかった僕は…ただひたすらに自分を押し殺して…いつも死にたいと願っていた。

そしたら人間も信じれなくなったし、恐くなった。もちろんこの頃はまだアグニの存在も気付いてなかったからそいつらを殺すこともできなかった。

そして僕はまた逃げ出した。確か9歳の時かな。

その逃げ出した時に…僕は楓と出会ったんだよ。」



あの時のことは今でも忘れられない。