―現在―



私はお墓を撫でた。



「敦史…。私決めたの。敦史を思って泣くのはもう止めた。どれだけ泣いたって…どれだけ寂しくったって…敦史はもう戻ってこない。

だから私は…これから敦史が悲しまないようにちゃんと自分の為に生きてみる。

恋もして…日々を楽しんで…そうやって生きてたら…敦史は悲しまないよね?

私は敦史を忘れたりしないから。
敦史…こんな自分勝手な私を空から見守ってね?ちゃんと頑張るからさ!」


そう言って私はお墓に背を向けて歩き始めた。



あれから6年…。



私は大人になれているのかな?


私は変われているのかな?



~~♪♪


携帯の着信音が鳴り、カバンから携帯を取り出した。



理恵ちゃんからか。



「もしもし。どうしたの理恵ちゃん。」


『あぁ…俺だよ。今日3人で飯食いに行くんだけど暇ならお前らも来るか?』


電話をしてきたのは薫だった。


何か…タイミングいいわね。


「わかった!私今ちょっと出てるから…あと~…1時間もしたら帰り着くからそのままそっちに行くわ!」


腕時計を見て言った。


『わかった。気をつけろよ。』



「薫…。私って…初めて会った時から何か変われたかな?」


『はぁ?何だよ急に。』


「ううん!何でもない!」


『変わったと思うよ。雰囲気が柔らかくなって…今じゃ俺達の支えになってるよ。何か考え事してるならあまり心配するなよ?その…涼風姉は今のままでいい。』


薫の言葉を聞いて、少し涙が出てきた。


私は涙を拭いた。


「…今日…あんたの奢りでしょうね?」


私は笑って言った。


『理恵の奢りだよ。それじゃな。』



電話が切れた。



ありがとう…薫。