斎藤 慶太を後ろからつけているが、今のところ目立った動きは何もない。



普通のサラリーマンの帰る姿を見てるみたいだ。



「ふぁ~あ~…!本当にあの人犯人なの?何も目立った様子はないけど。」



優がアクビをしながら言った。



「犯人じゃないって断定でもできねぇだろ?とりあえずあいつを追うしか今は方法がないんだよ。」



タバコを地面に落として足でもみ消した。


「はいはい。」



それから俺達は30分くらい追い続けていたが、全く変わりはなかった。



「もう帰ろうよ~。」


優が言った。


「そうだな。何も変化なしか…。」



すると、斎藤はキョロキョロと辺りを見回して裏路地に入った。



「怪しいな。」



「怪しいね。」



俺達は斎藤を追って裏路地に入った。


だが、斎藤は居なくなっていた。



「優!」



優は辺りを見回している。



「居ない…。どこに行ったんだろう。」



優の目でも見えないのかよ。


そんなに遠くには行ってないはずだが…。





ビュウッ!!



風?!!



俺達は横に転がって避けた。



さっき居た所にはナイフが刺さっていた。


ビュウッ!!



またか!


後ろに下がって避けた。



「薫…。これは…?」


優が言った。


風に乗せてナイフを投げつける。



やっぱり……涼風か…。



「あら?久しぶりね薫。あんたが邪魔者だったのね。」



俺達の前には涼風が立っていた。