「なぁ…!ちょっと…話あるんだけどいいか?」
敦史が言いにくそうに私に言った。
話?
本当に珍しいわ。
「別れ話?」
「違うだろバカ!俺がお前のこと捨てるかよ!頼まれても一生離さねぇ!」
なっ…?!
またこいつは……。
敦史は私を残して駐輪場まで走り、スクーターに乗って私の方に来てヘルメットを投げた。
「乗れよ。ちょっと行きたい場所があるんだ。」
話の次は行きたい場所か。
忙しい人。
ヘルメットを被り、スクーターに乗って敦史にしがみついた。
しばらくスクーターで走り、着いた先は町が一望できる場所だった。
ベンチがあり、私達はそこに座る。
夕焼けが町と私達を淡いオレンジ色に染め、景色はロマンチックな物になっていた。
「あのさ…。」
「何よ…。」
敦史が緊張しているように見え、その緊張感が私にも伝わってきて、私もどこかぎこちなくなる。
「…俺…こうやって仕事してるじゃん?涼風は学校に行ってるけど…その間も俺はずっと働いてる。お陰で結構給料もいいんだ。先月も一応12万はもらえた。まだ新米扱いだし…まだまだ仕事も覚えてないけど…」
敦史はポケットから何かを取り出し、私に渡した。
リボンがついた小さな箱を開けると、中には指輪が入っていた。
「これ…」
「悪い!まだそんな安い物しか買えないけど…貯金もちゃんとしてる。将来はもっと稼げるようになって…涼風に可愛い服も買ってやるし…美味い物も食わせてやるし…何一つ不自由な思いも…悲しい思いも寂しい思いもなるべくさせないから…
涼風が高校卒業したら…俺の…最高のお嫁さんになってくれ…ないか…?」
敦史は私の手を握って、私の目を見て言った。
