「ぐぇっ…!がっ…!」
羽交い締めをしてる男が急に苦しみだして私を離した。
よく見ると、あの男の子がチョークスリーパーをかけている。
ある程度締め上げて男を離し、私の手を握って走りだした。
旅館の中に入り、階段を上がっていく。
気付くと旅館の屋上に着いていた。
「いや~…ビックリした!女子に聞いたら部屋に居ないって言うから外出てみたら…あんなことになってるとはね…。」
息を整えながら言った。
「…ないでよ……。」
「えっ?何?」
「余計なことしないでよ!!何で私に構うの!?ほっといてよ!迷惑なのよ!!」
涙を拭いて男の子に言った。
男の子は呆れた顔をする。
「そこはありがとうだろ?本当に可愛くない女だな~。」
そう言って男の子は私の頭を撫でた。
「無理すんなよ…女の子なんだから。たまには誰かに頼ってもいいんじゃないか?1人で居るお前は十分強いと思う。だからもう無理はすんな。」
何よ…。
わかったような口聞いて…。
「もう口出ししないで…。私のことなんか何もわかんないくせに!」
そう言うと男の子は笑った。
「じゃあ…お前のこと知ってもいいか?それなら文句ないよな?
俺は中山 敦史。お前は?」
何こいつ……。
「……朝宮 涼風。」
私が言うと、中山は笑った。
「涼風か。いい名前だな!ちょうど今吹いてる風みたいだ!これで1つ知れた。また少しずつでいいから教えろよ?俺も教えてやるからさ!」
中山はそう言って私に小さな袋を渡した。
「今日付き合ってくれたろ?そのお礼だよ。」
中を開けてみると、水色の髪留めが入っていた。
「気に入ったら使えば?」
私は無言のままその髪留めを使った。
「……ありがとう…。」
「どういたしまして。」
