夕方になり、表の扇杜に出て斎藤 慶太が勤めている会社のビルの前に来ていた。


だが夜になっても斎藤 慶太が出てくる気配がない。



「暑い~‥。喉乾いた~‥。」


優が外の気温にうなだれている。


「我慢しろ。飲み物買ってる間に奴が出てきたらどうすんだよ。」



タバコをくわえて火をつけた。



「てか本当にここに居るの?もう結構時間経ってるけど~」


確かに少し遅いな。


だが、居ないなんてことはないだろ。


「もうちょっとだけ待つぞ。」


そう言うと、ぶ~ぶ~言いながら優は待っていた。



風‥。


偶然…な訳ないか。


面倒な仕事になりそうだ。



ん?


目を細めてビルから出てきた人間を見た。

「薫!あの人!」


優がそいつを見て言った。


「間違いないな。行くぞ優。」


俺達は斎藤を追い始めた。


「優。1つだけ言っとく。」


「何?」



「突風が吹いたらとにかく避けろ。」


俺がそう言うと、優は首を傾げていた。