唯香に別れを告げて自分の教室に向かう。


この間にも女の子からは「今日も綺麗~!」とか男の子からは「朝宮見れた!今日ついてる!」とか言われていた。



自分の教室に着き、窓際の一番後ろの席に座って肘を突いて窓からぼ~っと景色を見た。



私は何回同じことを毎日毎日言われ続ければいいのだろうか…。


私は私を綺麗だなんて思わないし、私を見れたくらいで喜ばれる存在でもない。


綺麗…好きです…付き合って下さい…話がある…話しかけてみようかな…ダメよ相手にされないわ…朝宮と付き合ってみたい…朝宮さんと友達になりたい…。



自分に浴びせられる言葉はパターン化してる。


本当に唯香以外は乾電池で動いてるオモチャかって思えるくらい同じ言葉しか聞かない…。


このオモチャ達は私の前で人間になろうとしない。



そんな言葉を浴びせられる私も嫌いだ。



私なんて居なくなればいいのに。


そうすればこの煩(わずら)わしい毎日からも解放される…。



でもこんな私が居なくなれば唯香は悲しい思いをするんだろうな。



だからこの時間だけは私も乾電池で動くオモチャで居る。



って言っても私はここからあまり動かないけどね。












でも私はここで唯香以外の『人間』と呼べる存在にこの日出会えた。



これもまた運命とでも言うのだろうか…。