「さて…依頼料の話をしようか。こっちも裏稼業だし、それなりの金は取るぞ?」
俺がそう言うと、茂木さんは頭を抱える。
「いくら欲しいんだ?」
「それは…お前の誠意次第だろ。」
タバコをくわえて火をつけ、それを茂木さんに向けて言った。
「成功したら500万。前金は100万でどうだ?私も仕事を引退した身で、今は体もこの有り様だ。色々とお金が必要なんでな。」
600万か…。
妥当な値段だな。
「別にいいが…1つだけ聞いていいか?」
「何だ?」
「風が吹いてナイフが飛んできた…。それで間違いないか?」
俺がそう言うと、茂木さんは首を傾げた。
「そうだな。風が吹いた後に3本ナイフが刺さっていた。」
「刺した奴は見てないのか?」
「残念ながら何も見ていない。振り返ってみたがそこには何もなかった。」
こんな事件に奴が関わっているのか…。
「この斎藤 慶太って何者だ?」
俺は写真を手に取った。
「有名な会社に勤めているサラリーマンだ。最近ちょくちょく不穏な動きが目撃されている。私が調査していると…後ろから刺された…。こいつは間違いなく犯人だ。」
有名な会社……。
エリートのちょっとした火遊びとでも思ってるんだろう。
「私はね…悔しくてしょうがない…。娘を殺されて…やっと追い詰めたと思ったらこのざまだ…。頼む……私の意志を継いでくれ…。」
頭を下げて俺達に頼み込む茂木さん。
「わかった。あと…1つ確認だ。」
「何かな?」
「俺達はあんたの代わりにこいつを殺す。それをあんたも背負う覚悟はあるか?」
そう言うと、茂木さんは頷く。
「なら安心だ。仕事はちゃんとしてやるよ。」
俺はそう言って、茂木さんから100万を受け取った。