コツ…コツ…コツ…コツ……


季節は春を告げ、桜の花は蕾になり、満開まであともう少しの所まで来ていた。


私は1人で歩いていた。



「いい天気ね~…。」


そう呟いて足を進ませる。



「えぇっと…どこだったっけな~。久しぶりに来るからわかんなくなっちゃった。


あっ!居た居た!」



私は彼を見つけて歩み寄る。



私…朝宮 涼風の最高の彼氏。



中山 敦史(なかやま あつし)。



今はもうお墓になっちゃったけど…。



買ってきた花を丁寧に入れ、線香を上げた。



「……久しぶり敦史。ずっと来れなかったけど別にいいよね?私も忙しくてさ。仕事も…プライベートも。けど…敦史のことは忘れてないから安心して?まだ恋愛なんてできそうにないのよ。でもね…私ちゃんと変われたんだよ!

復讐はもう終わったし…こんな私に優しく接してくれる人も少ないけどちゃんとできた!戦いなんてもう辞めようかなって思ってたけど…私を頼りにしてる人も居るからね。

今の私を……敦史はちゃんと見てくれてる?あの頃とは全然違うよね!敦史と出会った時なんて私スゴかったもん。絶対今みたいな考え方できなかった。

……敦史……ズルいよ…。私のことこんなに変えたくせに…私を置いていくなんて…。こんないい女置いていくなんて贅沢よ!だから後悔させてあげる!死ななきゃよかったって!」



私はお墓に語りかけていた。