―薫―


外に出てタバコを買って、さっきの屋上に来た。


剣が無くなってる……。


優か…。


俺は花束が置いてある場所をずらし、タバコに火をつけて剣が刺さってある場所に置いた。



俺もタバコに火をつけてその場に座った。


「さっきタバコ買うの忘れてた。お前タバコ吸ってたから買ってきてやったぞ。あの世でもタバコくらい吸いたいだろうと思ってな。」


煙を吐いて言った。


「…お前セコいな。俺に2回も勝って死にやがって…。勝ち逃げしてんじゃねぇよ。

何が俺の負けだよ。もし俺があと1分でも早く戦い始めたらお前が確実に勝ってただろ。運も実力の内なんて言うが…そんな勝ち方俺は好きじゃねぇ。どうせなら本当の実力で勝ちたかった。

よかったな。結果はどうあれ…最後の戦いでもお前は勝った。無敗のままあの世に行けた。自慢でもしてろ。俺に勝ったんだからな。


でも…お前との戦い…悪くなかったよ。楽しかった。お前は最高だよ。1人の人間としても…優や唯香って奴の親父としてもな。」


俺はタバコの箱を置き、立ち上がって伸びをした。


「じゃあ行くわ。一人言は趣味じゃないんでね。」


俺は歩き始めた。







―「荒西!優をよろしくな!」―


声が聞こえ、すぐに振り返ったがそこには誰も居なかった。


「言われなくてもわかってるよ。」



そう言ってまた歩き始めた。






―始末屋アジト―


アジトのドアを開ける。


「あっ!薫おかえり~!」


優が笑って言う。


「おかえり薫!もうご飯できるよ!」


理恵が俺に気付いて言った。


「薫!今日ね…理恵ちゃんが初めてシチュー作るんだって!」


「味は保証するわ。ちゃんとコックに習ったしね!薫どうしたの?」


俺は2人を見て笑った。


家に帰ってきたんだな…俺は…。




「ただいま。」


もう色は元通り。また騒がしい日常が始まりを告げた。


でも、それもいいかもな…。




第7章~裏扇杜最強の男始末~


―完―