―次の日 優―
辰馬さんの好きだった屋上に来て、買ってきた花束を置いた。
そこには辰馬さんの相棒の魔剣シエルが刺さってて、唯香ちゃんが置いたであろう飲み物と花束が置いてある。
「何か……実感ないな~…。この人って死ぬんだって感じ…。」
「人間だからな…。当たり前だろ。」
ついてきてくれた薫が俺のあげたジッポでタバコに火をつけた。
「当たり前なんだけど…。もう少しだけ…ちゃんと親子で居たかったな~。最後の最後まで戦ってるなんて!」
俺はシエルを見て笑った。
「それが…お前の親父らしい行動じゃねぇの?」
煙を吐いて薫が言う。
「薫…わかってたんでしょ?辰馬さんがもう少しで死んじゃうの。だから俺も辰馬さんの方に行かせたし、あの時わざと負けたんでしょ!」
そう言うと、俺を見て溜め息を吐いた。
「もう少しマシな考え方しやがれバカ。」
薫は立ち上がって歩き始めた。
「あっ!薫~!」
慌てて立ち上がって行こうとしたが、もう一回魔剣シエルを見た。
辰馬さん…。
俺ちゃんと薫の隣でいろんなこと学ぶよ。
だから安心してね。
辰馬さんに言われた通り、いつか本当の優しさを誰かに伝えるよ。
それまで……。
俺は魔剣シエルを抜いた。
辰馬さんの思い…希望…悲しみ…辛さ…怒り…喜び…全部俺に貸して。
その時が来たら、俺はまたこれを誰かにあげるよ。
ガーディアンの力で、魔剣シエルは光の粒になり、俺に降り注ぐ。
「それでいいよね…お父さん!今までありがとう!!」
俺は薫を追いかけた。
お父さん…。
どんなに自分を親らしくないって思ったって
俺には最高にカッコいい自慢のお父さんだったよ!!