なっ…?


勝った…のか…?



辰馬は龍人の状態から解けていた。



「最近の若者は…強いな…。俺も歳を取ったってことか…。もう動けねぇ…。」


ポケットを探り、タバコに火をつけようとするが、ライターがつかなかった。


「荒西…。火をつけてくれ…」


俺はライターを出して火をつけてやった。


「ふぅ~…。荒西…お前…本当は気付いてんだろ?だからあんな状態で俺と戦ったんだろ?」


辰馬は俺を見て言った。






「あぁ…。お前から出る気配は…悪魔3体分の気配しか感じられなかった…。お前自体の気配をお前からは感じない…。

だから…お前の寿命は……。」


初めて会った時に気付いていた…。


こいつはもう長くないと…。


「気配を読めるってのはスゴいな。お前と戦った時…気配だ何だとか言ってたからバレたと思ったよ…。」


煙を吐いて辰馬が言った。


「優にはよ…今まで一回たりとも親らしいことなんざしてやれてなかった。でも…こんな状態になれば…抱きしめてやるくらいできると思えるかと思ったんだが…俺には無理だった…。結局優と居たい為にこんなマネしちまった…。

でもよ…俺は教えてやりたかった。とことん怒って大事な物の為に戦うということの大切さを…時には非情になって戦わないといけないということを…。

なのにあいつは…本当に優しすぎる。俺に歯向かうことすらせずにこっちに来やがった…。バカだよあいつは…。」


笑いながら辰馬が言った。


「お前を信じてたからじゃ…ないのか…?」


俺はタバコをくわえて火をつけた。


「信じなくてもいいのにな。こんな俺のことなんか…。でもよ…お前は絶対に止めてくれると信じてたよ…この俺をな。お陰で今までで最高に面白い戦いができた!このまま死ぬのも悪くないな!」



辰馬は俺を見て笑った。