「そんなに固くならなくていい。私は警察を引退した身だ。」
男が俺達に言った。
何だよ…。
焦らせやがって。
「じゃあ何でお前は凹んでんだよ。」
「だって警察手帳見せられたんだもん…。」
そっか。
優は警察が苦手だからな。
「すまないな。名刺を切らしていて…これしかないんだ。」
そう言って警察手帳を俺に渡した。
茂木 賢一‥。
元扇杜警察署勤務か。
「で?俺達に一体何の用ですか。」
茂木さんに警察手帳を返した。
「始末屋に依頼をしにきたんだよ。」
「いいんですか?今は警察に勤務してないとはいえ‥裏稼業の俺達の所に依頼なんて。」
俺がそう言うと、茂木さんは笑いだした。
「私はそんなに頭が固い訳じゃない!君達は優秀だと聞いたからここに来たんだよ。」
それはありがたいが…何かやりづらいな。
「俺達が何をするかも知ってるんですか?」
「知ってるよ。だからこそ君達に託したいんだ。」
茂木さんは2枚写真を出した。
男1人‥女1人…。
「最近扇杜で起きてる焼死殺人事件は知っているか?」
「知ってます!6人分の焼死体が発見されたやつですよね?」
優がそう言うと、茂木さんは頷いた。
「娘を…殺されてね。この写真の子だよ。茂木 朝美。一人娘でね。私はやっきになって犯人を探したんだが…背後から刺されてね…もう歩けなくなってしまった。」
ひどいもんだ。
口封じ兼これ以上関わるなってことか。
「刺した奴が誰なのかわからないのか?」
俺がそう言うと、茂木さんは首を横に振った。
「風が吹いたと同時に…気が付けばナイフが刺さっていた。」
風…?
まさか…な。
「頼む!君達の力が必要なんだ…!」
茂木さんは俺達に頭を下げた。
「どうする?」
俺は優に聞いた。
「依頼だから!」
優は俺に言った。
「引き受けた。あんたの意志は俺達が受け継いだよ。」
俺がそう言うと、ありがとうと言ってまた頭を下げた。