―始末屋アジト―



俺は自室にこもってメガネをかけて情報を見ていた。



表は6人。


裏は14人。



裏の方が圧倒的に被害が多いのに1回もニュースに流れないって…。


まぁ、仕方ないか。


表の人間からしたら無法者が集う裏扇杜は邪魔でしょうがないだろうからな。


タバコをくわえて火をつけた。


明らかにこの犯人はそれをわかってやっている。



表の人間か?


いや…それはないか。



―『有り得ないことはないだろ?』―


アビルが言う。


「そうだけど…。この犯人が表の奴なら裏の奴になぜバレない。表の奴がここでの生き方なんて知らないだろうし。」



―『なるほど。なら裏の人間なのかもな。』―



かと言って…裏の人間ならもう少し情報があるだろうしな。



謎だらけだ。



コンッコンッ…。



「優か?」



「私!入ってもいい?」



ドアの向こうから理恵の声が聞こえる。



「いいぞ。」



そう言うと、ドアが開いて理恵が入ってきた。



「うわっ。タバコ臭い…」


部屋に入るなり嫌な顔をする。


灰を灰皿に落としてタバコをくわえた。



「うるせぇなぁ。何だよ。」


俺がそう言うと理恵はニヤリと笑った。


「下に警察来てるよ?今優が相手してるわ。」


警察?
おかしいな…。


裏扇杜に警察が捜査に来るなんて有り得ないことだ…。
そもそも警察は裏扇杜内に入れば一瞬で殺されるだろう。


何にしても面倒くさいな…。
業績を報告しろとかじゃないよな?


「何かあったら私が根回しするわ。」


理恵が俺に呟く。


立ち上がってタバコを消し、大きく伸びをした。



「ありがたいが…やめとけ。結城グループの名に傷がつく。」



階段を降りると、優がうつむいて凹んでいる。


優の前には車椅子に座った中年の男が居た。



「依頼人…な訳ないか。警察が一体何の用ですか?」


そう言って優の隣に座った。