―優―


地下に降りて、愛ちゃんの居る牢屋に向かった。


「あっ!優!」


愛ちゃんが俺を見つけて笑顔になる。


「ごめんね…。俺のせいでこんな所に…」


「気にしないでいいよ…!私が辰馬さんを信じて来たんだし…それに優の顔も見れるし!」


話し終わる前に愛ちゃんは笑って言ってくれた。


「俺…最低の男だよ。薫のこと裏切って…辰馬さんの所に来た…。結果はどうあれ薫を信じれなかった…。本当に最低だよ…。」


俺は愛ちゃんの前に座って言った。


「私のせいだよね…。私が辰馬さんについてきちゃったから…優の大切な物を奪っちゃった…。」


「愛ちゃんのせいじゃないよ!俺は辰馬さんをどこかで信じてたから…ここに来た。でも…薫や涼風さんを殺したって聞いてから…信じる物が無くなっちゃった…。」


愛ちゃんは隙間から手を出して俺の手を握った。


「大丈夫。きっとまだ生きてるよ…。優が大切に思う人達だもん…そんなに簡単に死んだりなんかしないよ!きっと優を迎えに来てくれる。だから信じよ?」


薫が生きてたら…俺は薫と戦わないといけなくなる……。


それも絶対嫌だ…。


お願い神様…。


薫や涼風さんがまだ生きていたら…ここには来ないようにして下さい!!


「きっと大丈夫だから。優の大切な物は無くなったりしない!きっと優を助けてくれる!私も一緒に願うから!」



何も無い今の俺には、この愛ちゃんの笑顔だけが救いだった…。