―涼風―
外に出ると、楓がドアの横に座っていた。
「あんた…いつから居たの…?」
涙を拭いて楓に聞いた。
「話は全部聞きました。でも何も見てません。女の泣き顔は苦手なもんで。」
楓は私の顔を見ずにヒソヒソ声で言った。
「あんたも関わんない方がいいわよ。薫戦わないつもりだし。」
そう言うと、楓は前方を指差した。
「今は薫はんも泣かせましょ。歩きながら話しましょか。」
始末屋から大分離れて楓が話し始めた。
「薫はんも色々辛いやろうな~。優にあんな感じで別れを告げられて。」
楓は空を見ながら言った。
「生憎何も感じてないみたいよ?あんな奴に戦い方なんて教えるんじゃなかった。」
そう言うと、楓は笑った。
「俺は薫はんのことよう知らんけど、何も感じないなんて無いと思いますよ?俺の知ってる薫はんは負けず嫌いで…どんな逆境にも立ち向かうかっこえぇ男や!だから玲央奈もあないなつくんやと思います。
きっと…1人で戦うつもりなんやないですか?それだけ強い相手なら…薫はんは涼風はんを心配して突き放したんやと思いますけどね~。」
薫が…私を気遣って…?
「涼風はん…空見上げてみて下さい。雲がのんびり流れてて心も落ち着きますよ?
優のことやから頭に血が上ったんでしょ。心を落ち着かせて…薫はんがどんな人間なんか思い出してみましょ。」
私は言われた通りに空を見上げた。
薫は……
意地っ張りで…
負けず嫌いで…
人よりも努力家で…
ツンケンしてるけど…
人のことをちゃんと見ていて…
辛い時は不器用ながらもちゃんと優しい言葉をかけてくれて…
本当は誰よりも人に優しくて…
自分に厳しくして…
他人のことをちゃんと思いやれる…
そんな子だったな…。
「答えは以外と近くにあって人っていうのは、その足元の答えにはなかなか目が届かないものなんです。
薫はんの真意は意外にシンプルやと思いますよ?」
あのバカ……。
