『―…。尚、現在結城 理恵さんは意識不明の重体となっており、集中治療室で治療中とのことです。犯人は未だ逃走中とのことで、扇杜警察が捜索中とのことです。』
テレビの中の女キャスターは凛々しい顔で告げた。
俺達にとっては…そんな顔で言える話な訳もなく…ただ怒りや憎しみが込み上げてきた。
「誰がやりやがった…。俺達に恨みを持ってる奴か…それとも…ただの怨恨か…。」
くわえていたタバコを噛み千切った。
優はうつむいている。
「優…。探しだしてぶっ殺すぞ。」
そう言うが、優は反応しなかった。
「優!!」
『たった今…!また臨時ニュースが入ってきました…!』
さっきのキャスターが慌てて言った。
次は何だよ…。
『先程…三浦財閥の娘さん…三浦 愛さんが―…
何者かによって誘拐されたようです。』
「愛ちゃん?!!」
優はテレビに視線を戻す。
愛って確か…バレンタインに来てたあの女の子か…!
一体どうなってやがる…。
被害に合っているのは2人共俺達に近しい人物だ。
誰がこんなことを…。
しかも表立ってわざわざニュースにしている。
俺達を挑発してんのか…?
優は立ち上がって外に出ようとしていた。
「どこ行くんだよ!」
「愛ちゃんを誘拐した奴と理恵ちゃんを刺した奴に会いにいく!!」
俺は優の腕を掴んで止めた。
「落ち着け!今行っても情報は何もない。闇雲に探すより…情報を集めて探しだした方が確実だ。」
そう言うと、優は掴んでいる腕を振り払った。
「薫がそんなことしてる間に…2人は苦しんでるんだよ?!だから俺が終わらせるんだ!!!」
「優!」
優は静止を聞かずに外へ飛び出した。