「ん…う~ん…。」


壁にかかっている時計を見ると、昼になっていた。


伸びをしてベッドから降り、タバコをくわえて火をつけた。



そのまま下に降りると、優がソファーに座ってテレビを見ていた。



「薫おはよ!昨日はごめんね…。何か疲れちゃって!でももう大丈夫だよ!」


優は笑って言った。


「涼風にキスでもしてもらったか?」


そう聞くと、優の顔は赤くなった。


「そんなことしてないもん!」


よかった。


いつもの優だ。


「まぁ心配してなかったから気にすんな。」


煙を吐いて優に言った。


「それはそれでヒドいよね?」


「うるせぇ。…信頼してるだけだ。」


そう言うと嬉しそうにしていた。



それにしても…昨日の違和感は何だったんだろうか?



さほど気にせずにコーヒーを入れて飲み始めた。



「コーヒーが入ってるが理恵来てたのか?」


「うん!仕事あるからまた夕方に来るって言ってたよ!」



あいつも気になってたのか。



金持ちの娘なのに気が利くな~…。



テレビを見ていると急に画面が変わり、急にニュース番組に変わった。


キャスターが慌ただしく原稿を受け取っている。



「何かあったのか?」


俺はソファーの後ろに立ってテレビを見た。


「わかんない。でもただ事じゃないんじゃないの?」



確かに…。


臨時ニュースなんて滅多にないからな。



『番組の途中ですが臨時ニュースをお送りします。今朝の10時頃に―…










結城グループ社長…結城 誠司さんの娘…結城理恵さんが―…何者かにより刺されました。』



俺はコーヒーカップを床に落として割ってしまった。