―優―



辰馬さん…。


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『俺はお前を手に入れる為なら何でもするぜ?それでもいいんだな?』

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コンコンッ…!ガチャッ。


「あらあら…意外に部屋汚くしてるのね?」


「涼風さん?!」


俺はすぐにベッドから起き上がって床に散乱した服を1つにまとめた。


「気にしなくていいのに!このくらいが男らしくていいのよ。」


クスクス笑って涼風さんはベッドに座った。


「すいません…!ってか何で…?」


俺が聞くと涼風さんは少し考えて微笑んだ。


「優君の顔が見たかったから!それだけじゃダメかな?」


うっ…!


上目遣いで聞く涼風さんを見れずに視線をずらした。


「わざわざありがとうございます…!」


そう言うと涼風さんは笑った。


「何か悩んでる?顔がいつもと違って沈んでるけど?」


なっ?!バレた?!


「お姉さんが聞いてあげるわよ。話してみなさい。」


涼風さんはベッドに寝転んで言った。


「……もし……大切な人達を全員殺す代わりに…自分の理想通りの世界を作ってあげるって言われたら…涼風さんはどうしますか?」


思い切って聞いてみた。


涼風さんは考えていた。



「私なら…そんなことしないわ。今が理想通りだし…大切な物を失ってまで理想の世界を作らなくても‥ここにはそれ以上に大切な物ができてしまったから!」


涼風さんは笑って言った。



確かに…俺も…ここが大切だから…あの時断ったんだろうな…。


「でも……そのことによって薫や涼風さんに迷惑がかかってしまったら…俺は…。」


微笑んで寝転んだまま俺の頭を撫でてくれた。


「大丈夫よ。私も薫も強いから優君の前から居なくなったりしないわ。だから安心しなさい?」


涼風さんの優しい言葉に思わず涙を流してしまった。



すると涼風さんは抱き締めてくれた。


「優君は心配性ね。」


俺の頭を撫でた。