始末屋



辰馬さんと裏扇杜に戻りながら、今まであったことを話していた。


「そうだ!辰馬さん薫に会ってみる?薫スゴい強いんだよ?」


辰馬さんに笑って言った。


「強いのは知ってるよ~!あちらこちらで噂は聞いたしな。今の裏扇杜で一番強いらしいじゃねぇか。」


そうなんだ~。
それは知らなかった。


まぁ薫だしね。
一番強くて当たり前か。


辰馬さんは立ち止まって景色を見ていた。


「変わらねぇな…この町は。相変わらず廃れてやがる。」


景色を見ながら辰馬さんが言った。


「優。」


「何?」




「俺と一緒にこの世界を変えてみないか?」


辰馬さんは真面目な顔をして俺に言った。


「俺は思うんだよ優。この世界は平等じゃねぇ。ここは力が無きゃすぐに殺される世界…だから皆生きてく為に必死だ。

だが表の奴らは俺達を見下し…のうのうと生きてる。学校とか普通の仕事しながら明日のことをゆっくり考えれる。

だからここも…同じように平和にしてみないか?ヤクザ共やギャング共や……裏稼業の人間を全てぶっ潰し…新しい裏扇杜を俺と一緒に作ってみないか?」



裏稼業の人間も…全部……。


薫や…涼風さんもってこと…か…。



「ごめん辰馬さん…。確かにそんな世界作ってみたいし…本当にできたら子供達も弱い人達も怯えながら暮らさずに済む。

でも…薫や涼風さんは俺にとって大切な人だし俺には殺せない。ごめんね…。

…そろそろ帰らないと薫が心配するからまたね!」



俺はアジトに向かって歩き始めた。



「俺はお前を手に入れる為なら何でもするぜ?それでもいいんだな…?」


振り返って辰馬さんを見た。


「辰馬さんはそんなことしないよ。優しくてカッコいい男だからね!」


冗談混じりで言ったけど、辰馬さんの表情は変わらなかった。



気になったけど俺はアジトに戻った。