始末屋

―優―



「いらっしゃいませ!」


俺はコンビニに入ってカゴを持って飲み物がある場所に向かった。



「はぁ…。」


あんなの俺が勝てる訳ないの薫わかってる癖に…。


絶対始めから俺に買ってこさせるつもりだったんだ。



だから俺がコンビニ行く時にタバコ買い置きある?って聞いたのに…何でその時に言わないかな~…。



そんなことを思いながら飲み物を選んでカゴに入れてレジに向かった。


「あっ!あと…これのカートン?5個下さい!」


箱を見せてそう言うと、レジの女の人が俺を見た。


ん?


何だろう?


「お客様…身分を証明できる物などお持ちですか?」


えっ?!


どうしよう…そんなの持ってないよ~!



買って帰らないと薫に怒られちゃうしな~…。



「すいません。身分証明できない場合は売れない決まりになってまして…」


悩んでいると、店員さんが言った。



諦めるしかないか……。




















「悪いね~!お嬢ちゃん!ついついめんどくさいから俺がこいつに頼んだんだよ~!」


えっ…?


後ろからいきなり頭を撫でられた。


この声……まさか…?!


振り返ると、俺を育ててくれた辰馬さんが居た。


「22835円ですね~!」


ハッとしてお金を払って商品を受け取った。



「優、随分見ない間にタバコ吸うようになったのか?」


辰馬さんはタバコをくわえて火をつけて笑った。


「これは……今の相棒が…。じゃなくて!今まで一体どこに…?!」


そう言うと、辰馬さんは俺の頭を撫でた。


「心配かけたな~!許せ優!オジサンはいい男だから忙しいんだよ!」


全然変わってない…。


いつも何聞いてもその言葉で誤魔化してた。


「…辰馬さん…!」


俺は涙が溢れ、辰馬さんに抱きついた。


「ハハッ!相変わらず泣き虫だなお前は~!」


辰馬さんはそう言って頭を撫でてくれた。