―その頃の理恵―


薫だけになっちゃった…。


でも…もう誰も来ないわよね…?


早く渡さないと絶対1日過ぎちゃう…。



声出してみようかな…。


これで来なかったら渡そう!!


「あのね…」


「ん?どうした?」



誰も来なかった…!
今しかない…!!


「あっ…あの…」


「さっきからどうした?気分でも悪いのか?」


よし!
いける!


「私「か~お~る~~!!」


ドアが開いて玲央奈君が来て薫に抱きついた。


もう何か…予想できてたけどね…。





―薫―


「玲央奈?!何でお前こんな所に?!」


俺は玲央奈を引き剥がそうとしたがなかなか離れない。


「だって薫が言ったんじゃん~♪会いたくなったら遊びに来いって♪」


言ったけど…早すぎんだろ…。


「玲央奈…!早いって…!」


楓がフラフラと遅れてきた。


「こら!玲央奈!薫はんが困っとるやろ?」


襟を掴んで玲央奈を離した。


「楓のケチ!」


「ケチちゃうわ!」


何してんだか…。


「薫♪今日はチョコあげにきたの!はい!」


玲央奈はポケットから細い箱を取り出して俺に渡した。


「チョコって…お前男だろ?男にもらってもな~。」


そう言うと玲央奈は口を尖らせて拗ねたような表情をした。


「その辺の女の子にもらうより僕からもらった方が嬉しいでしょ?」


楓はそれを聞いて溜め息を吐いていた。


大変だな~楓も…。


「別にどんな女の子からもらっても一応嬉しいよ。」


タバコをくわえて火をつけた。


「嘘だ~!薫変わってる!」


俺が変わってんのか…?


「ほな…もぉえぇな?俺達明日も仕事あるんやけど玲央奈がどうしても行きたい言うて聞かんかったんよ~」


「お前も大変だな…。わざわざありがとう。」



そう言うと玲央奈は嬉しそうにしていた。


「じゃあまた来るね!」


「迷惑かけてすんまへん!今度ゆっくり遊びに来るわ~!」


2人は帰っていった。