始末屋


―その日の夜―


俺はベッドに寝転がって窓から見える三日月を眺めていた。



―――――――――――

―「取り返すことなど必要なことでしょうか?

復讐などあなたにとって必要ですか?

あなたが現実を受け止め、前に進めば…あなたは悪魔と契約なんてする必要なかったんじゃありませんか?」―

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現実を受け止めて…前に進む…か。


ミカエルに言われた言葉を思い出していた。



「なぁアビル。」


―『何だよ。』―



「もし…あの時…。お前と契約した時に…俺が契約しないと言ったらどうしてたんだ?」



―『生憎もしの話は好きじゃねぇんでな。』―


アビルは俺の質問に素っ気なく答えた。


「聞いたのが間違いだったよ。」


寝返りを打って言った。


―『まぁ、あの状況なら殺してただろう。居ても意味のない存在だったからな。』―


「だろうな。」



だとしたら…俺の決断は間違ってなかったんだ…。


殺されれば何もかもが終わってた。


結局…泥まみれになっても傷だらけになっても生きていればやり直しがきくんだ。



それに…今の状況も悪くない。



あの頃の俺のままだったら、きっと周りの優しさに甘えていたはずだ。


―『だったら考えなくていいんじゃないか?この世は法律や規律というややこしい物で支配されているが…実際罪の重さや捉え方なんて人それぞれだ。だから裁判なんて制度もあるし、弁護士やら検事やらがいるんだろ?

人間が作り出した絶対的な法律や規律だが…それを支配するのは結局人間だ。お前らのような半端で矛盾だらけの種族が支配する時点で…罪や罰なんて曖昧な物なんだよ。』―



確かに…。


現時点で裏扇杜のような世界があるくらいだしな。


考えすぎか…。


罪だなんて知るか。俺は俺の目的の為に戦い続けるだけだ。



その末路が地獄だったとしても…。





第6章~大天使襲来~


―完―