「薫!」


俺と玲央奈は涼風が居る方に向かった。


玲央奈はすぐに楓の方に行く。


「すごかったわね~!私が介入できるレベルじゃなかったわ。薫も成長したね!」


俺の頭を言いながら撫でる涼風。


「別に…あれくらい普通だ。」


タバコをくわえて火をつけた。


「ん?でもお姉さんわざと気配空にしてたんじゃないの?」


玲央奈が涼風を見て言った。


は?


俺も涼風を見た。


「ここ来た時は感じなかったけど戦ってる時違う気配を後ろから感じたからお姉さんでしょ?薫がヤバくなったら助けに行こうと思ってたんじゃないの。」


涼風は玲央奈を見て微笑んだ。


「私は薫を助けに行こうと思わなかったわ。薫は私が唯一戦い方を教えた子よ?負ける訳がないわ。」


こいつ…。
底無しかよ……。


本気の優と楓と戦って、まだ戦える力が残るって…。


「薫に戦い方を教えた…。どうりで疼く訳だ…。お姉さん強いね!戦ってる所僕見てみたい!!」


はしゃぐ玲央奈に涼風は今まで感じたことのない殺気を出した。


何だ…?これが…涼風…?


背中を何かが這い回るような感覚と額に剣を突き付けられている感じが支配した。


「私の本気で戦ってる所なんて見ない方がいいわよ。可愛い僕ちゃん。」


涼風は冷ややかな微笑みを浮かべた。


「おもしろい…!お姉さんも好きになりそうだよ。」


玲央奈も同じように微笑み返した。


「いつまでやってんだ。さっさとここから出るぞ?」


2人の間に入って言った。


「そうだ!優君起こさないと!」


涼風は優の方に行った。



こいつの本当の姿は未だにわかんねぇな…。


―『悪魔もあの女も格段にレベルが上がってるな。よっぽどあのカスに腕取られたのが悔しかったんじゃないのか?』―


なるほど。


俺の助けに入ろうと思ってたんじゃない。


デスアビスを見てた訳だ。