デスアビスは闇の中に消え、俺はミカエルの魂を吸収して、全ての戦いを終わらせた。


―『最高だよ薫!まさか大天使の魂を食えるとは思わなかったよ!』―


アビルが嬉しそうな声で言った。


「か~お~る~~!!」


背中がズシッと重くなり、玲央奈が顔を擦り寄せてくる。


「うっとうしいんだよ!降りろ!」


体を揺らして玲央奈を落とした。


「やっぱ面白い!!薫みたいな強い人大好き!いつか絶対俺が殺すからね♪」


無邪気に笑って玲央奈が言う。


「あれ?お前眼帯どうしたんだ?」


左目の眼帯が無くなっているのに気付いて聞いてみた。


「サリエルが破った。地獄見せてやったけど…眼帯はもう戻ってこない…。」


よっぽど大切な物なのか、玲央奈はうつむいて涙を流していた。


「お前創造の悪魔王と契約してるんだろ?壊れた物を元に戻す力とか創造すればいいじゃないか。」


そう言うと、玲央奈は首を振った。


「いくら元に戻しても…前と同じ眼帯じゃないよ…。あれは楓の妹の紅葉ちゃんが作ってくれたんだ…。僕の力が入ったら…もうそれじゃなくなる…。」


楓の妹。
確かソードに殺された人だ。


俺は玲央奈の頭を撫でた。


「お前の力が入っても別にいいんじゃないか?楓の妹が作った物を…お前の力で治す。そうすれば思い出は色褪せない。お前の中にまだ思い出は残ってるんだろ?」


そう聞くと玲央奈は頷いた。


「だったら心配ない。その眼帯はその眼帯のままだ。」


俺がそう言うと玲央奈は涙を拭き、ポケットから黒いバラバラの布を出した。



布は闇に包まれ、闇が晴れると眼帯を作っていた。


玲央奈はそれを左目につけた。


「……ありがとう…。その…薫のお陰で……」


モジモジして言葉が上手く出てこない玲央奈を見て、タバコをくわえて火をつけた。


「言い慣れてない言葉なら言わなくていい。気持ちだけ理解したつもりで居てやるから。」


そう言うと玲央奈は嬉しそうに抱きついてきた。