コンコンッ!
腕を組んで考えているとまたドアが鳴った。
まさか依頼人じゃないよな?
今日は人の出入り激しいな。
理恵がドアを開けに行く。
「こんちわ~!!元気やったか?」
聞き覚えのある関西弁が聞こえて、ドアの方を見ると楓が居た。
「楓…。何でこんな所に?」
「本当!久しぶりね~!」
俺と涼風が言うと、楓は笑って俺達の方に来た。
「こっちで仕事があって、終わったから少し相棒置いてきて顔見に来たんよ!あれ?涼風はんの腕生えてきとるやん!」
涼風を見て楓が言った。
俺は楓に今までの経緯をかいつまんで話した。
「なるほどな~…。わかった!俺も手伝ったるよ!」
楓の言葉に俺達は驚いた。
「お前手伝うって言っても仕事はどうすんだよ。事務所も関西だし何日も空けれないだろ?」
俺がそう言うと楓は笑った。
「気にせんでえぇよ~!仕事は終わらせたし、たまには休業しても罰は当たらへんよ!」
俺達の仕事手伝うのに休業になるのかよ‥。
相変わらず掴みにくい男だ。
「じゃああんたにも依頼料払わないとね。」
「いや依頼料はいらん!俺が勝手に手伝うだけやから!」
マジかよ…。
こいつバカか?
「つまり…薫はんと優がそのストーカーを始末する。俺はそのストーカーを天国に『運ぶ』。こんな感じやな!」
運ぶ?
楓は運び屋か?
「本当にいいの?簡単な仕事じゃないわよ?」
涼風が心配そうに言った。
「涼風はんには命を助けてもらった。その恩を返す時が来ただけや。何にも気にせんでえぇ。さっきも言ったけど…俺が勝手にやることや。そういうことでえぇんよ!」
涼風は楓に深く頭を下げた。
あの涼風が他人に頭を下げた…。
初めて見る光景に少し驚いてしまった。
とにかく、涼風の依頼は
始末屋の俺達と護り屋の涼風と運び屋の楓で遂行することになった。