―扇杜の某ホテル―
「えぇか?俺は知り合いに会いに行くから絶っっ対ここから出たらあかんぞ?」
俺はコートを着ながらベッドに寝転んでいる玲央奈に言った。
玲央奈を見ると、聞いてないように長い髪をクルクル扱っていた。
反抗期かいなこいつは…。
「聞いてんのか玲央奈!ちゃんと返事せんかい!」
そう言うと、玲央奈は起き上がって俺を見た。
「ねぇ~…。僕も会いたい~!その薫って人と優って人強いんでしょ?何で僕お留守番なの~?」
手をついて俺を見上げて言う玲央奈。
こうしてると普通の女の子やな~。
「ダメや。俺の知り合いやねんから玲央奈が会ってもしゃないやろ?ワガママ言わんとちゃんとお留守番しとき。」
そう言ってドアの方に行くと、背中に重さを感じた。
どうやら玲央奈が背中に抱きついてるらしい。
「楓…僕を1人にするんだ…。扇杜なんて知らない場所で置き去りにするんだ~…。こんな幼気(いたいけ)な少女を…。」
俺は玲央奈を引き離した。
「何が少女やアホ!少年の間違いやろ!まぁ、扇杜には危ない奴も居るやろうから町には出たらあかんよ?」
そう言って玲央奈の頭を撫でた。
「早く帰って来てね…?暇だから!」
ニコリと笑って言う玲央奈にデコピンをした。