俺はタバコをくわえて火をつけた。
こいつ強かったな~。
本当に強くなったのか分からなくなったよ。
―『こいつが特別だっただけだろ。和志ってやつほどじゃないけど強い方だったぞ。』―
居る所には居るもんだな‥。
右腕は治るのにどれくらいかかる?
―『折れてるからな。一週間はかかるよ。』―
一週間か…。
痛いな…。
俺は右腕を抑えて、雪の女神がある部屋に戻った。
これどうしようかな。
ここでぶっ壊してもいいけど、一旦鳴海に見せてみた方がいいかもしれないな。
パンッ!!
銃声が鳴ったと同時に俺の腹に激痛が走った。
「なっ…。」
腹を抑えて後ろを振り返ると、震えた手で銃を構えている赤坂が居た。
「それは…私の物だ!だ…誰にも渡さない…!私だけの女神だ!」
やられた…。
完全に気抜いてた。
「お前には…この女神は似合わない。こいつは鳴海の方に帰りたがってるよ。
小さな生き物や‥木や‥物にだって命はあるんだ。それをちゃんと見つめれないお前には…こいつを持つ資格はない。」
パンッ!パンッ!
銃弾が肩と足を貫く。
俺は地面に膝をついてしまった。
「どんなことを言われてもいい!私の物だ!」
そう言った瞬間に赤坂は地面に倒れ込んだ。
後ろには優が居た。
「あんた調子に乗りすぎ。」
そう言って俺の方に来た。
「薫ボロボロだね。大丈夫?」
優は俺に手を差し伸べる。
「うるせぇ。お前も顔傷だらけじゃねぇか。」
左手で優の手を掴んで立ち上がった。
「優、雪の女神見てみろよ。お前の目ならあれが見えるだろ?」
そう言うと、優は雪の女神をじっと見つめた。
「あぁっ!気付かなかった!なるほどね~。」
優はそれを見て驚いている。
「これ運ぶぞ。さっさと帰ろうか。」
俺達は雪の女神を運んで、旅館に戻り始めた。