優の方を見ると、優も終わらせていた。
「肩慣らし終わった?」
優は笑って俺に言った。
「肩慣らしにもならねぇよ。この程度じゃ。」
そう言って、俺達は屋敷の中に入った。
屋敷の中は静けさに包まれていた。
だが、近くに人が居る気配はする。
すると、真正面の階段からこの前の晴と由莉恵が降りてきた。
「どけ。ザコに用はない。俺達は雪像を始末しに来たんだ。」
俺がそう言うと、2人は武器を出して構えた。
「雪像を護ることが私達の仕事です…。易々とここを通す訳にはいきませんよ!!」
由莉恵がそう言うと、2人は俺に向かってきた。
晴は俺の目の前に来て、鉤爪を振りかぶる。
俺は腕を掴み、地面に叩きつけた。
「この前の俺と思わないことだ。攻撃見えてるよ。」
晴は悔しそうに俺を睨みつける。
「隙だらけですよ?」
後ろから由莉恵が向かってくる。
俺は攻撃を避けて、由莉恵の首を掴んで持ち上げた。
「止めろ!!」
晴が立ち上がって俺に斬りかかる。
俺は晴の顔面を蹴り飛ばし、由莉恵を睨んだ。
「な…なに…よ…。」
由莉恵も俺を睨みつける。
俺は掴んでいた手を離した。
由莉恵は地面に倒れ込む。
俺はしゃがんで由莉恵の腹に手を置いた。
「何…するの…」
「いいから黙ってろ。」
俺はアビルの力を由莉恵に流し込んだ。
「それで完全に治ってるはずだ。内臓ボロボロで立つのもやっとだったろ?そんなお前と戦ってもフェアじゃない。元はと言えば俺がやったことだ。敵に治してもらったとか気にすんな。」
俺はそう言って立ち上がった。
